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『ッ!!』
三太1人であれば、
問題はない。
問題なのは、
三太が結界術を使うのを阻止するのを、
盾になって守りきれる存在がいる事。
その相手が、
強者である事。
刹那に召喚した、
レム、エント、ガディス達が、
盾となる美優に向かっていく。
『はっは、
この光景、デジャブだな』
懐かしむ様に美優がそう言って、
目視出来ぬガディス達の攻撃を受けて吐血した瞬間、
『がっ、』
『若ッ!!!』
硬直した様に、
拓也の動きが止まった。
締め付けられるように身体を縮め、
堪えきれず地に膝をつく。
美優に止めを刺そうとしていたガディスが、
ハッと拓也を振り返り、
レムとエントと共に弾けて消える。
『さん、ったぁぁあ!!』
拓也の方に手を翳し、
涙を流していた三太は、
『ごめん、拓……』
そう言って、
翳した手を握り締めた。
『グゥウッ』
拓也の両眼を、
真っ黒な影が覆っていく。
それらは徐々に帯状になり、
『ア"ぁ"ぁ"ァア"ァッッ!!!』
拓也の全身に駆け巡り、
『庵!!エリを連れて逃げろォッッ今すぐッッ!!!』
やがて影を広げて、拓也を飲み込み丸い球状になった。
『が、……は、』
その球状に降りかかる赤。
『庵ってコレのこと?拓也君』
美優は、庵を貫いた腕を、拓也が封印された黒い球状の結界物に振り切った。
血飛沫と共に、
庵が黒い結界物に打ち付けられ、
床に倒れる。
『あはは、弱いからすぐ死んじゃったわよ?』
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