MARMARON〜怨みから始まる古の女神〜

葛城怨み屋事務所

限りなく露出させた、傷一つない日を嫌う白く長い脚が、交互に伸びて螺旋階段をカツカツと踏み降りていく。

ジーンズ生地のミニスカートに、
細い腰にピッタリと密着する柔らかな手触りの子犬の毛並みのような黒いティシャツ、
細く長い脚を際立たせるかかとの高いターコイズブルーのヒール。

その服装は、入社初日に着てくる格好とは到底思えない。

小さい顔を隠すようにしてかけるサングラスを取ると、
石田エリは、洋館の入り口同様に古ぼけた扉の前で立ち止まった。

扉の中心はガラス張りになっており、
その中央に葛城怨み屋事務所と書いてある。

石田エリは、小さなショルダーバックから手鏡を取り出して、素早く顔をチェックした。

すぐにニッコリと口角を上げ、手鏡をショルダーバックに直しながら、扉のノブに手を掛ける。