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ギィイ…
錆び付いた音に眉を潜めそうになりながら、石田エリは、部屋の中に入った。
『三ちゃんっっ!!』
最大限に高ぶった声色が部屋の中に響く。
『あれ…?』
静まり返る室内。
見渡して誰もいない事に気づいたエリは、落胆しながら中央にあるソファーにどかっと座った。
『おい、』
『きゃあっ!』
瞬間、背後からした声に飛び上がり立ち上がる。
勢いよく振り返ると、見知らぬ青年が立っていた。
『…何よ、アンタ』
エリが眉を曲げて口を開くと、
青年はしばらくエリを見てから、あからさまにため息をついた。
『邪魔』
言いながら、窓際に唯一ある社長席へと軽快に足を運び、今買ってきたものだろう、コンビニ袋を机に投げるように置き、高級そうな重々しい椅子に慣れた様子で座る。
エリは叫んだ。
『ちょっと!どこに座ってんのよ!通報するわよ?!さっさと出て行きなさいよ!』
『…は?』
『依頼人なら、礼儀を知らなすぎるわ!出直しなさい!!』
『……』
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