星が降って。

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白い扉を開くと、彼はいた。 彼は笑った。 「遅かったね。もう夜だよ。僕、独りで死ぬのではないかと思ったよ」 「なんで先に行っちゃうの」 「ちょっとした遊び心さ」 彼はそういう人だ。 私はそのまま彼の隣に座る。 私は言った。 「ねぇ、このまま死んで、天国に行ったら、お母さんに会えるのかな」 すると彼は少し悲しそうな顔をした。 「……天国があればね」 それから私達は無言で窓の外を見た。 星空が美しく広がっている。 少し時間が空き、彼がつぶやいた。 「僕達、どのくらい生きたんだろう」 私は言う。 「さぁね。かなり長かったよね」 私は彼に聞いた。 「寂しい?」 彼はまた笑って答えた。 「もともとしかいなかったのに?」 「お母さんと合わせたら三人だよ」 「もう死んでしまったじゃないか」 「確かに……」
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