君との距離

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ブルーシートを敷いて寝袋を全開にして、その上に二人で寝そべる。 「なあ、進学とか考えている?」 俺は、おもむろに聞いてみた。 「えー。まだ、高校に入ったばっかりなのに…お前、考えてんの?」 「県外に行くならバイトして少し貯金とかあった方がいいかなって」 『俺は、この想いが辛くて逃げ出したくなるかもしれないからな』 と心の中でつぶやいた。 「なんで県外なんだよ。なんかやりたい事でもあるのかよ」 「イヤ、なんか漠然とした感じなんだけど、いざっていう時のためにとか」 「なんだよ。それ…」 勇樹は、親友がいなくなる事がイヤなんだろう。 だから俺は親友のままでいられる道を模索する。 ブルーシートの上で寝そべる二人は手の届く距離。 手を伸ばせば全てを失う。 だから手は頭の下に組んだまま夜空を見上げる。 ようやく空が暗くなり星が浮かび上がる。 「うわー!ちょっとした距離なのに家で見るのと全然違う来てよかったな」 勇樹が興奮気味にしゃべっている。 「ほら、天体アプリ見ていいよ」 俺はスマホを差し出した。 「一緒に見ようよ」 勇樹が近づいてくる。 「うん」 俺は、返事をするのが精一杯。 満天の星空の中、シュッと尾を引く流れ星が見えた。 「いつまでも一緒にいられますように」 勇樹が大きな声で願いを言う。 「なんだよ。それ」 俺は勇樹を見た。 「大好きだよ。俺といつまでも一緒にいてくれる?」 勇樹はそう言うと顔を近づけてきた。 キスまであと5秒の距離を超えて
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