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ビールのある風景
ビールのある風景。
烏帽子岩の見える砂浜、
よく焼かれたバーベキューの網目の側、
よく晴れた青空、
海の家からは湘南ミュージックが爆音で鳴り響く最中、
友達の笑い声、
演奏終了後のステージの隅っこのギャラ変わりの一杯、
疲れた夜の帰り道のコンビニエンスのビニール袋の中、
ベランダから一人で眺める月、
立食パーティーにあるものはなんだかどれもあじけない。
お祝いとお別れ、
大成功したイベントライブの打ち上げ、
作曲中のギターの目の前のちゃぶ台、
作詞家にはおススメしません。
夕暮れの公園のベンチ、
テニスコートでは女学生がガムシャラに青春したりしてる声が空に乾く。
遠い思い出を思い出す時の視点、
はじめて交際した恋人にフラれた夜の先輩の家、
恋人にフラれた友達にとりあえず飲んどけって差し出した自分の手の平の中、
桜舞う中の、見上げれば鈍色の月夜、
子供の頃、一口、こんな苦いの飲めないって顔をしかめたあの日、
膝の上で新聞を広げる祖父の紙をめくる音、
大学の寮内の共通の冷蔵庫の中、
自分のものをあらわすために、個人の名前が書かれたりしてる。
自宅の縁側、
多摩川の河川敷、
激しく議論しあったライブハウスの客席とカウンター、
和解した時の両者の握りこぶし、
大好きになった女の子とデートできてバイバイした後の緊張の弛緩、
交際がはじまった後の居酒屋デートでの互いのぶっちゃけ話で笑うテーブル、
悔しくて眠れない夜、
悲しくて眠れない夜、
淋しくて眠れない夜、
そんな時の勢いで電話かけた女友達に説教されている時の真夜中の口もと、
ご当地で出来た旅の仲間と呑んだオリオンビール、えとせとら、
ご当地じゃないと同じ品質でもなんだか味が違うと首をかしげる日常、
なじみの焼き鳥屋の大将の元気な挨拶、
そこにたむろするなじみの常連客たちの味わい深い会話、
赤提灯、
遠くで電車の音もする夜や夕暮れや昼下がり、
やっぱり、なにはともあれ笑顔と一緒にあるのがいい。
ま、とりあえず、
お酒はほどほどに。
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