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うちのお坊ちゃん
私は、とある一家にメイドとして仕えている。
そして、その一家の跡継ぎ息子の専属メイドだ。
そんな私の前に、ある男が立っている。
金色に透けて見える茶色の髪に、宝石と錯覚させられるほど澄んだ瑠璃色の瞳。
美しく整った顔に、思わず見蕩れ引き込まれそうになる。
彼はおもむろにひざまずいた。
そのまま、私を見上げる。
その瞳には、溢れんばかりの愛が見てとれる。
「ユリス」
彼の綺麗に微笑まれた唇から、私の名がこぼれた。
「俺と、結婚してください」
女性なら、一度は夢に見るであろう、この瞬間。
自分を大切に愛してくれる素敵なひとに、生涯の愛を誓われる、プロポーズという儀式。
無論、私も憧れる女性のひとりだ。
メイドという仕事をしながらも、心のどこかで、素敵な男性と巡り会える瞬間を探していたりするのだ。
そんなことをのんびりと考えて、返事を今か今かと待ち構えている彼と目を合わせる。
彼の肩が揺れている。
「ありがとうございます。お気持ちだけ、受け取っておきますね」
私が軽く微笑むと、目の前の彼___私の主は、不満そうにこちらを見返してきたのだった。
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