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高松駅まで来ると父の悪い癖がまた始まった。
父が電車ではなくフェリーで帰ろうと言い出した。
わざわざ神戸を経由して大阪へ帰ろうと言うのだ。
電車で帰れば楽なものを…
けれど父の言うことは絶対。
仕方なくフェリーに乗った。
兄や姉はかなり不満を口にしていたけれど私はフェリーそんなに嫌いじゃなかった。
何度かこれまでにも車で帰省する時には利用したことがあったし、瀬戸内海には大小の島々が沢山あって、子供ながらに綺麗だなぁと思っていた。
それに、電車と違ってじっと座ってなくて良いのが子供にはなによりも魅力的だった。
正直、またあのトンネルをいくつも超えて新幹線で座席にじっと座り帰るのは憂鬱だった。
「お父さん、どこ行った?」
母に尋ねると、
「うどん食べてくるって。」
父はフェリー内にある立ち食いうどんのコーナーが好きだった。
フェリーに乗るといつも食べていた。
船内を散策がてらそこへ行ってみると、確かに父がいた。
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