親父へ

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親父へ こうやって親父に手紙を出すのは初めてかもしれません。 今の今まで迷惑ばかりかけた息子ですが、親父に手紙を書きます。 お袋が亡くなって去年七回忌でした。 その年の二月、お袋が喉の調子が悪いと言う話しで病院に行ったら、大きな病院を三つ紹介されました。その中にガンセンター病院の名前も……… ガンセンターを選び細かいところまで身体を調べ、出た結果が食道癌ステージ3。手術が出来ない場所に癌が見つかった。 この結果を聞いた親父も自分も、もちろんお袋もショックを隠しきれなかったけど、ここから戦いが始まった。 その年の四月、お袋が抗がん剤治療で入院した時は親父と俺は毎日仕事帰りにお見舞いに行った。 親父はこの時俺に初めてお袋との出会いや結婚を考えた時期とか色々と過去を教えてくれました。 その年の11月 主治医から呼び出された時親父は一人じゃ心細いから俺に付き合ってくれって。その日、主治医に告げられた事……… お袋の余命宣告だった……… 早くて今すぐ、もって春先 主治医は親父にこの宣告をお袋に伝えるかどうか聞いたところ、親父はどうしていいかわからず主治医に相談した。 出した答えはお袋に伝えると言う答えがでた。 次の日 主治医と一緒にお袋に伝えた瞬間、この頃お袋は声帯にも癌が転移して声が出せなかった為、筆談でコミュニケーションを取っていた。 お袋は 今すぐ死ねる薬を飲ませてほしい こんな言葉を書いた。 お袋が亡くなる直前、お袋が意識もうろうとしている時、お袋の耳元で お袋、親父の事は俺達が何とかするから大丈夫だから心配しなくていいからね……… そしたらお袋はほんの一瞬笑顔になった気がした。 親父、お袋とも約束したから何かあれば俺を頼ってくれ……… これからもお袋の分長生きして下さい。
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