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久しぶりの対面であったが、早速お菓子の話になった。話を聞いていた葉子はお姑さんと星のお菓子を提案してきた。
「まず、これは『星のどら焼き』ね?お義母さん」
「そう。星の焼印を押してあるだけなんだけどさ、中はこうだよ」
これには天の川をイメージし、ミルククリームが入っているとの説明だった。
「でもね。味にパンチがないんだよ……」
「そうですか?味は、瑠奈?」
「美味しいです。皮ももっちりしていて、焼印も可愛いですね」
瑠奈の食べる様子に葉子は次を出してきた。
「これは『星型のモナカ』中身はただのあんこだよ」
「見た目は可愛いな。どうだ?瑠奈」
「そうですね。これって色は何色か作れますか?」
「色?色かい?」
意外な顔の葉子義母は、着色料でピンクと黄色とか紫ならできると言った。
「最後はこれ!『星のソフトクリーム』、まず食べて」
「どうぞ。さあ、どうぞ!兄さんも!」
義母がにこやかに勧めるので陽介が先に口にした。
「味は悪くないですが、ザリザリする?柔らかいアイスの中に硬い金平糖って」
「そうですね。食感が良くないです」
「なんだって?」
これには葉子義母が説明した。
「爽やかな夏空のイメージでラムネソーダ味。そして星を表す金平糖がインスタ映え。これのどこがダメなのよ」
「お義母さん!興奮しないで?」
「インスタ映え、か……どうだ?瑠奈」
「うーん。確かに」
こんな瑠奈は、陽介にアイスのカップを持たせてみた。彼女はじっと彼を見つめた。
「そうですね。このアイスに、星形のホワイトチョコとか、大きなものを刺したほうがインスタ映えしますね」
「チョコか。どう?お義母さん」
「……薄くていいんだろう。よし、やってみようか」
こうして二人は、今度はキャンプ場にやってきた。
「ここは拓也の実家なんだ。お!拓也」
「うっす。って、瑠奈かよ。めっちゃ美人じゃん?」
「お久しぶりです、拓也君。可愛い犬〜」
中学の同級生の拓也はサラリーマンであったが、週末は実家のキャンプ場を手伝っており、今回のイベントも協力すると言ってくれた。
「俺のところにはもう問い合わせ来てるぞ」
「そうか。あのな、瑠奈。ここにも星にちなんだ物を仕掛けたいんだ」
「そうね。広いしね」
瑠奈はそばにあったブランコを見て、星のオブジェはどうかと言った。
「どんなの?」
「ロープを星の形に張るのはどうかな?その中から、星の写真を撮ったら面白そうだし」
「よくわかんねえな」
頭を傾げる陽介であったが、拓也はうなづいていた。
「俺はわかるよ。瑠奈が言ってるのはこういうのだろ?」
「そうそう!他にも考えるね」
「あのさ?今度一緒に」
「おっと?俺に言ってくれ。さあ、瑠奈行くぞ」
この後も星のイベントの協力は二人の同級生が主であった。
「しかし。まさかあいつが先生と結婚するとはな?」
「うん。私、まだドキドキしてる」
警備会社の帰り道の車の中、二人は驚きの事件に思わず車を停めて休憩していた。
「あのさ。瑠奈ってその、恋人とかいるのか」
「いないよ?仕事と家の往復だもの」
「そか!うん、そうだよな」
彼の事を聞こうとした時、彼のスマホが鳴った。彼は慌てて車から降り、話をしていた。話の様子から女の人と話をしていた。
……彼女さんかな?いつも話をしてるし。
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