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第5章:赤い聖剣『フォルティス』
勇者シズナの第一歩は、唯一王都から西へ、徒歩で三日の距離にある、セレスタの街を襲う魔物を退治する、というものだった。
どこにあるかわからない魔王の居城に近づく為には、魔物を狩り、わざと数匹を逃がして追走する、という手段を取るのが手っ取り早い。歴代の勇者達も行ってきたという手法を踏襲する為に、一行はセレスタを目指した。
王城での食事と布団が用意されていた暮らしとは違い、日中は、魔物の出現で人の行き交いが薄れて舗装の崩れた街道を歩き続け、日が暮れる前に、水場の近くに野営出来る場所を確保し、食事を探しにゆく。
何もかもがこれまでと異なる生活だったが、狩猟でその日の糧を得る方法は、山奥の村では、村人全員が知っている生き方だ。弓矢を手に、ミサクと共に林に入り、腐葉土に残る獣の足跡を調べて足取りを追った。
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