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第6章:夢惑の森に銃声は響かない
と、宿の主人が厚意で提供してくれた食事を摂っている最中に言い出したので、彼が住んでいるという北を目指して、再び旅立った。
今年の残暑は早々に去り、野営の夜には冷え込む事も多くなる。更には北方に向かうので、自然、肌寒さは増してゆく。
シズナも火の番を受け持つようになって、焚き火に枯れ枝を放り込んでいたところ、小さなくしゃみをして、
「大丈夫か」
とミサクを起こしてしまった事もあった。その時は、彼の眠りを妨げてしまった事が申し訳無くて、
「大丈夫、ごめんなさい」
と肩に掛ける厚布をかぶり直して誤魔化し、ミサクもそれ以上を問い詰める事無く再び横になった。だが、後から振り返ると、他の面子が起きなかった程度のくしゃみで目を覚ますなど、彼はどれほど就寝中も異変に気を払っているのだろうと疑問が湧いて出て、次いで彼の眠りはその程度の浅さなのか、それで日中平気なのか、と心配になってきた。
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