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第7章:きっと誰もが嘘を吐く
だが、怖いのは、勇者の資格を剥奪される事ではない。魔王の居城に辿り着けないという事は、すなわちアルダと再び会う事もかなわない、という事だ。
今更会って何を話すのかなど、わからない。顔を合わせた途端に、お互い聖剣と魔剣を抜いて殺し合いになるかも知れない。
それでも。アルダに会いたい。どんな結末を迎えようと、あの日の思い出以上の最悪の結果になろうとも、今の彼から言葉を聞きたい。何を考えて魔王になったのか。本当に人類を滅ぼすつもりなのか。
そして、勇者の血族である自分を憎んでいるか。
決意は力強い歩みとなり、北の山の道無き道もしっかりと踏破してゆく。会えば活路が開けるかも知れない、というその人物を目指して、シズナは一歩一歩を踏み締めた。
そうして、山に入って何時間が過ぎた頃だろうか。
視界に煙が見え、野菜スープの香りが漂ってくる。それを頼りに進めば、シズナの実家より小さな小屋がぽつんとたたずんでいるのが見えてきた。
ミサクは躊躇いもせずその小屋へ向かってゆくと、シズナ達が追いついて足を止めるのを待ってから、小屋の扉をノックした。
中に人はいるはずだが、返事は無い。
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