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第7章:きっと誰もが嘘を吐く
「貴女に魔王城へ行ってもらっては困るんです。ずっと、ずっと魔族に言われていたんです。貴女が決定的に魔王のもとへ近づいた時には、消すようにと。でないと」
その顔が、くしゃりと歪み、泣きそうになりながらアティアは呟く。
「ナディヤが、わたしの妹が」
そこまで言った所で、アティアの顔から一切の感情が消えた。半眼で魔律晶を眼前に掲げると、低い唸りと共に炎が鞭のようにしなってシズナとミサクに襲いかかってきた。二人は咄嗟に左右に散開する事で、それを避ける。
補助と回復しか使えないなど、嘘だったのだ。アティアは攻撃魔法も修得していた。いつからか、どこまで嘘を吐いていたのか。大気の温度以外にうすら寒さを感じながら、シズナは聖剣『フォルティス』を抜いた。夕陽を受けて、透明な刃が赤く染まる。
アティアは氷の矢に雷撃といった攻撃魔法を次々繰り出してくる。どこまで実力を隠していたのかわからない上に、魔法士として王国最優秀とも言えるコキトにも気取られないように攻撃の魔律晶を隠し持っていたのだ。底が知れない。
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