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第7章:きっと誰もが嘘を吐く
ミサクが照準を合わせて、正確に急所を狙って銃を撃つ。しかしアティアはそれも織り込み済みで、『障壁律』を発動させると、目に見えない壁で銃弾を受け止め、ばらばらと地に落とした。
ミサクの援護は通用しない。ならば直接攻撃を叩き込むしか無い。
「この……」
嘘だったのか、全て。あの笑顔も、心配顔も、親愛も、全て。
「裏切り者!!」
シズナの激昂に呼応して、『フォルティス』が輝きを帯びた。セレスタ村で魔物を討った時と同じ、彼女の怒りを反映したような赤に。
それを見たアティアは、一瞬怯んだ表情を浮かべたが、すぐにそれを打ち消すと、青黒い魔律晶を取り出した。途端、空気を貫くような鋭い音を従えて、魔律晶と同じ色の光が蛇のように素早く地を這い、シズナの足に絡みついたかと思うと、ずしりと何かにのしかかられたかのごとく身体が重くなった。『呪縛律』だ、と気づいた時には、アティアが短剣を振りかざして、シズナの首筋目がけて飛び込んでくるところだった。
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