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第8章:仮面の下に秘められた
食堂に入って席に着くなり、三人ともメニューを食い入るように見つめ、欲望に忠実に食べたい物を注文する。
秋野菜のサラダ山葵ドレッシングがけ。とうもろこしとじゃがいものポタージュ。ハーブに漬け込んだ鴨肉のロースト。子羊肉を三日煮込んだブラウンシチュー。川魚の姿焼き。トマトペーストで仕立てた魚介類のリゾット。特製レモネード。そしてとどめにベリーのタルト。
テーブルを埋め尽くすほどに運ばれてきた大量の料理を分け合い、「いただきます」と両手を合わせて頭を下げ、その後はしばらく誰もが無言で、むしゃぶりつくように食事をかき込んだ。
サラダは山葵がぴりりときいていて、ポタージュは温かい。肉料理も魚料理も身が柔らかく、リゾットはトマトが味を主張しすぎないで、魚介類の素材の味を殺していない。レモネードは甘酸っぱく、タルトは『氷結律』を使った氷室で冷やしていたのか、ひんやりと舌に触れた。
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