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第8章:仮面の下に秘められた
長らく離れていた料理人の手による食事に、腹も心も満足し、食後の一杯として出てきたエスプレッソをちまちまと味わいつつ、シズナはそこでようやく周りを見回す余裕が出てきて、店のあちこちに、顔の形に皮をくり抜いたかぼちゃが大小問わずに置かれている事に気がついた。
「ははん」シズナの視線に気づいたコキトが、口元をゆるめる。「カナルトの感謝祭か」
「感謝祭?」
不思議そうに小首を傾げると、コキトはひらひらと手を降りながら、明快な説明を始めた。
「カナルトでは毎年この季節に、一年の収穫を祝って盛大な祭を催すんだよ。メインイベントは夜の仮面舞踊会。皆、顔を隠してその日だけの恋人と踊って過ごすんだ」
「隠すって……あのかぼちゃをかぶるの?」
シズナが口を変な形に曲げながら、そこかしこにあるかぼちゃを指差すと、ミサクが含みかけていたエスプレッソをぶっと噴き出してむせ込み、魔法士は色眼鏡の下で目を点にしたようで、その後「あっはは!」と腹を抱えて笑い出した。
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