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第1章:血染めの祝福
おめでとう、おめでとう、の言葉と秋桜の雨が降る中を、新しく夫婦になった二人が歩いて皆に礼を返す。めでたい空気を出来るだけ長く共有しようと、イーリエ達が腕を振るった料理が運び込まれ、祝い酒が振る舞われた。
「やあ、めでたいな、本当にめでたいな!」
シズナとアルダが並んで宴の様子を微笑ましく見守っていると、二人の剣の師匠でもあるガンツが、赤ら顔でエールをあおりながら歩み寄ってきて、筋肉質な腕でアルダの首をがっちりと抱え込んだ。
「乳臭いガキどもだと思ってたアルダとシズナが、大人の仲間入りか! ったく、こおんなちびの頃から見ていた身としては、感無量だぜ」
こおんな、と、膝ほどの位置にエールを握った手をかざし、ガンツは大声で笑った後、「本当に、ううっ……」と感極まって、その手で目を覆ったので、中身が少しこぼれてしまった。
「あはは、苦しいよ、ガンツ」
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