第9章:青い魔剣『オディウム』

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第9章:青い魔剣『オディウム』

「『天空律』!?」  シズナが見せた魔律晶を目にしたコキトは、明らかに色眼鏡の下の瞳を爛々と輝かせたようだった。奪うかの勢いで『天空律』を受け取ると、食い入るようにその球体に見入る。 「わかるなら、どういう物か教えてくれ」  ミサクが水を向けると、魔法士は興奮気味に語り出した。 「文字通り、天空を飛ぶ魔法を司る魔律晶さね。使用者が行きたいとさえ望めば、この空のいかなる場所へでも連れていってくれる」 「では」ミサクが確実に驚いた様子で、呟くように洩らす。「魔王の居城とは」 「空の、上?」  シズナが唖然として頭上を指差すと、コキトは鷹揚にうなずいた。 「そりゃあ、大陸のどこを探しても魔王の居場所が見つからないはずだし、代々の勇者とその仲間しか知らないのもうなずける」
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