第1章:血染めの祝福

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第1章:血染めの祝福

 アルダが苦笑を浮かべながら師匠の逞しい腕を振りほどき、シズナの肩を抱く。 「それに、あなたが村に来た時、俺達はそこまで小さくなかったろう? もう剣を握れる歳だった」 「そうだったけかあ?」  ずびずびはなをすすりながらガンツは首を傾げ、それから眉間に皺を寄せて周囲を見回す。 「しかし、この晴れの日にユホはいねえのか。いくら可愛い孫を持ってかれるからって、頑固にもほどがあるだろうに」  そういえば、とシズナは宴に集まった顔を見渡す。あの鋭い敵意を感じない。刺すような視線が存在しない。 「昼には始まるから来てくれって、声はかけたんだけどねえ。呼びに行ってもいなかったし」  いつの間にか傍に来ていたイーリエが頬に手を当てぼやいた時。 「おやおや、盛り上がっているねえ。めでたい事だ」  少しもめでたいと思っていないような、しわがれた声が、昂揚していた宴の空気を一気に冷やした。誰もが一斉に声の方を向く。 「ちょいと野暮用があってねえ。遅くなったよ」
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