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第1章:血染めの祝福
「今こそ目覚め、手始めに、憎き勇者の血族を、驕り高ぶった愚民どもを、魔物達と魔剣『オディウム』で喰らいましょうぞ」
ユホの言っている事がわからない。いやそもそも、彼女が若返り、シズナの夫の唇を奪った。何が起きているのか意味がわからない。
だが、事態はシズナの理解が追いつく事を待たずに転換を見せた。呆然と突っ立っているように見えたアルダの手に握られた剣が、轟、と低く唸ったかと思うと、血のような赤色を宿した。
「シズナ!」
母の声が耳に突き刺さった。直後、小さな呻き声が聴こえる。シズナをかばうように目の前に飛び出してきたイーリエのふくよかな胸から、赤い刃が突き出ている。それが捻られると、母は白目をむいて脱力した。
「さあ!」
ユホだった女が、狂喜に満ちた笑みを浮かべて両腕を広げる。
「本当の祝福の始まりだよ!」
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