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第1章:血染めの祝福
「このシュレンダイン大陸には、アナスタシアしか国が存在しない。唯一の王家が、大陸全土を治めているんだ」
シュレンダイン、アナスタシア。両親も教えてくれなかった外界の存在にシズナが混乱している事も、ミサクは承知の上の様子で、話を続ける。
「王国はずっと、この村の存在を把握していた。勇者の血族が住む地として」
「勇者の、血族?」
先程からおうむ返しにしか言葉を発していない事を自覚しつつも、今のシズナには、彼から話を聞くしか現状を把握する術が無い。ミサクはシズナの問いかけに軽く頷いて、衝撃の事実を告げた。
「君の父エルシは、かつて、アナスタシアを脅かす魔王を倒した勇者エルストリオだ」
ぽかん、とシズナは口を開けて呆けてしまう。
『さあ、魔王様、この娘にもとどめを。それで勇者の血族は死に絶えます』
炎の中でユホが放った言葉が耳の奥に蘇る。魔王、勇者。それは御伽話としてイーリエが幼きシズナとアルダに語ってくれた童話だ。
『姫をさらった悪い魔王は、勇者の聖剣によって倒されたのでした。めでたし、めでたし』
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