第2章:魔王の花嫁

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第2章:魔王の花嫁

 がらごろと音を立てて車輪が回る、二頭立ての箱馬車の窓から見える景色は、木々に囲まれた山中から、一面の草原に変わり、やがて、故郷の村より多くの屋根が並ぶ集落が散見されるようになった。 道中、向かいに座ったミサクが、外の世界について淡々と語ってくれた。  数百年、唯一王家であるアナスタシアの国王が大陸を治めてきた。だがある時代から、その栄光をおびやかす者が現れる。  魔族の王、『魔王』を名乗るその存在は、野生の獣を変貌させた『魔物』を大陸中に解き放って、集落を襲い、滅ぼして、人類の生活に著しい恐怖を叩きつけた。  だが、そこに希望の光が舞い降りる。聖剣『フォルティス』を手にした勇者が、魔王を打倒して唯一王都に凱旋したのだ。  初代勇者は王家の姫を妻に迎えて、英雄として讃えられた。  ところが、それから十数年としない内に、再び魔王を称する者が魔物を従えて王国を襲い、幸せに暮らしていた勇者の命を奪った。人々は恐慌し、またも訪れた闇を恐れて暮らす日々が続いた。  暗黒期のびろうどを引き裂いたのは、勇者と姫の一人息子だった。父の形見である聖剣を手に、新たな勇者となって、二代目の魔王の首を地に落としたのである。
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