第2章:魔王の花嫁

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第2章:魔王の花嫁

「そんなに便利な魔法があるなら、勇者の力に頼らなくても、魔法で魔王を倒す事が出来るでしょう」 「それが出来れば、苦労はしない」  シズナが苛立ち混じりに半眼になると、ミサクは静かに首を横に振った。 「核の研究は数十年かけてもまだ途中だ。これだという本当に正しい用い方を出来る人間は、アナスタシアにはまだほとんどいない。王家に仕える魔法士が、慎重に使い方を模索している最中だ」  だから、と彼は続ける。 「勇者と聖剣『フォルティス』に頼るという、時代遅れだが最も確実な方法を、今も選ぶしか無い」  膝の上でぎゅっと拳を握り締めるシズナを、ミサクの青い視線が射抜いた。 「貴女にはこれから王宮で、勇者としての訓練を受けてもらう。聖剣を操り、魔王を打倒する為に」  魔王を打倒する。その台詞に、シズナの血の気が引いた。アルダは魔王として覚醒した。それを自分が倒すというのか。愛し愛された、誰よりも大切な人を、この手で。
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