第2章:魔王の花嫁

1/1

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ

第2章:魔王の花嫁

 白色の壁が屹立していた。恐らく高さはシズナの背丈の十倍はあるだろう。それが視界に収まりきらない範囲で広がっているのだ。  馬車は迷う事無く壁へと向かって走り続ける。その一角に木製の門扉があって、両脇に、白い鎧をまとい、腰に剣――訓練用の木剣ではなく、立派な鞘に収まった真剣だ――を帯びた男達が立っている。  彼らは近づいてくる馬車を視認すると、すっとこめかみの辺りに手を掲げて、直立不動でこちらを待ち受ける。馬車は門の前で止まり、ミサクが窓を開けて彼らに声をかけた。 「ご苦労」 「いえ!」 「ミサク様こそ、お役目お疲れさまです!」
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加