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第2章:魔王の花嫁
白色の壁が屹立していた。恐らく高さはシズナの背丈の十倍はあるだろう。それが視界に収まりきらない範囲で広がっているのだ。
馬車は迷う事無く壁へと向かって走り続ける。その一角に木製の門扉があって、両脇に、白い鎧をまとい、腰に剣――訓練用の木剣ではなく、立派な鞘に収まった真剣だ――を帯びた男達が立っている。
彼らは近づいてくる馬車を視認すると、すっとこめかみの辺りに手を掲げて、直立不動でこちらを待ち受ける。馬車は門の前で止まり、ミサクが窓を開けて彼らに声をかけた。
「ご苦労」
「いえ!」
「ミサク様こそ、お役目お疲れさまです!」
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