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第2章:魔王の花嫁
シズナはぎんと国王を見すえると、意を決して口を開いた。
「私は既に一人の人妻です。アルダ以外を夫にと思う事は、ありません」
途端。
しん、と場が静まり返った。
「……アルダ、だと?」
ヘルトムート王がふるふると身を震わせ、腹の底から絞り出すようなしゃがれ声を放つ。
「そなた、まさか魔王アルゼストの花嫁となったか!」
王が怒りを爆発させた理由の根底がどこにあるかは、シズナにはわからない。だが、彼が「アルゼスト」と言った魔王が、この国の人間が認識している、自分が愛した人の今の姿なのだという事だけは、動揺無く理解出来た。
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