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第3章:好奇と敵意と親愛と
それを聞いたミサクが目を点にし、アティアの方を向く。侍女は眉を垂れて軽く肩をすくめた。
「思っていたより根性があるな、貴女は」
ミサクは冗談めかして苦笑し、それから真顔になって告げた。
「今日から貴女には、勇者としての力をつける為の訓練を受けてもらう。とりあえず今日は、午前は座学でこの国の基本的な常識について学び、午後には剣と魔法の腕のほどを見せてくれ」
「わかったわ」
騎士に頷き返しながらも、シズナの胸には一抹の不安がよぎる。村を出た以上、アナスタシアの社会通念に従わなければならない事は、シズナにもわかる。剣はアルダと共にガンツにみっちり教わった。だが、魔法は全く未知の領域だ。腕前を見せろと言われても、何をどうすれば良いのか全くわからない。
シズナのそんな不安を、ミサクも承知の上らしい。
「まあ魔法は、腕を見るというよりは、どの程度の説明でどの程度のものを使えるのか、適性を判断するだけだから、そう構えないで良いさ」
と天気の話でもするように、片手を振りながら付け足した。
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