第3章:好奇と敵意と親愛と

1/1

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ

第3章:好奇と敵意と親愛と

 それを聞いたミサクが目を点にし、アティアの方を向く。侍女は眉を垂れて軽く肩をすくめた。 「思っていたより根性があるな、貴女は」  ミサクは冗談めかして苦笑し、それから真顔になって告げた。 「今日から貴女には、勇者としての力をつける為の訓練を受けてもらう。とりあえず今日は、午前は座学でこの国の基本的な常識について学び、午後には剣と魔法の腕のほどを見せてくれ」 「わかったわ」  騎士に頷き返しながらも、シズナの胸には一抹の不安がよぎる。村を出た以上、アナスタシアの社会通念に従わなければならない事は、シズナにもわかる。剣はアルダと共にガンツにみっちり教わった。だが、魔法は全く未知の領域だ。腕前を見せろと言われても、何をどうすれば良いのか全くわからない。  シズナのそんな不安を、ミサクも承知の上らしい。 「まあ魔法は、腕を見るというよりは、どの程度の説明でどの程度のものを使えるのか、適性を判断するだけだから、そう構えないで良いさ」  と天気の話でもするように、片手を振りながら付け足した。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加