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第3章:好奇と敵意と親愛と
「イリオスは、態度に問題はあるが、まがりなりにも騎士団の中では腕の立つ一人だ。それを一瞬でねじ伏せるのだから、貴女に剣を教えた人は、相当な手練れだったんだろう」
たしかに、ガンツは大酒呑みで酔っ払うとてんで役に立たなかったが、シズナとアルダに剣を教える時だけは、頑なに素面を守り、正確な剣の振るい方を指南してくれた。今はもう会えない師匠に、内心感謝する。
「次は魔法だ。この国で一番の研究者に引き合わせるから、その者から話を聞いてくれ」
剣だけでなく、魔法も、ミサクの担当ではないのか。シズナが怪訝そうに眉根を寄せると、彼は苦笑して肩をすくめた。
「僕は魔法はからきしだ。これから貴女に教える相手に、『才能が無い』とまではっきり言われたよ」
だから、と、ミサクは剣帯の代わりに腰にはいたホルスターを指し示す。
「僕の武器はこれにするしか無かった」
そこには黒光りする武器が収められていた。山奥暮らしのシズナでもそれは見た事がある。
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