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第3章:好奇と敵意と親愛と
「貴女は何も間違った事は言っていない。この王都には、貴女が納得のいかない事が多々あるだろう。だが、それら全てに異を唱えていては、貴女の身も心ももたない。真正面から立ち向かわない事も覚えてくれ」
その言葉に、シズナは納得した訳ではない。しかし、受け入れなくては、シズナ自身が危害を被る可能性があるし、これからもミサクがこうして自分をかばって怪我をする可能性も高いのだ。
そんな事態は避けなくてはならない。それだけは理解したシズナは、ゆっくりと首肯する。
「良かった」
それを見て、ミサクがふっと口元をゆるめた。
「貴女には苦しんで欲しくないが、これもこの唯一王国で生き延びる為だ。わかってくれ」
流血して、鈍痛を感じているだろうに、何故彼はそんな風に優しく笑えるのか。理由がわからなくて、シズナの胸は、しくしくと針で刺されるような痛みをおぼえた。
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