第4章:奪われた光

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第4章:奪われた光

「魔法の素養は遺伝するのか、って。魔族の中には魔律晶を介さずに魔法を使える者がいる。それがどういう要因で生まれるのか、人間にも発生する可能性があるのか、あるとしたら、魔律晶を持たなくても魔法を発生させる事が出来るか。是非見てみたい」  シズナに魔法を使わせて、その子供が魔律晶無しに魔法を発動させられるか。気の長い話の上に、完全にシズナ母子を実験台に使った、とんでもない言い分だったが、 『勇者が魔王の子を産むなんて、国王陛下も想定外の醜聞だろうに』  と陰に陽に噂して嗤う城の連中に比べれば、遙かに正直に自分の興味をひけらかしてくれる、好奇心の塊のコキトは、シズナが信用を置ける数少ない人間だ。その役に立てるなら、自分自身の魔法の腕も衰えないし、この妊娠生活の気分転換ともなる。重たい身体で思うように剣を振り回せない分、シズナは魔法の修練に気を注いだ。  そして暇が出来た時には、裁縫道具と柔らかい布をアティアに持ってきてもらった。
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