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第4章:奪われた光
その後は、何がどうなったのか、シズナにもよくわからない。
ただ痛みに支配される中、「深呼吸をして」「力を抜いて」などと次々と呼びかけられ、周りで誰かしらが動き回り喋っているような気がしたし、誰かが手を握ってくれている気もしたが、繰り返される苦痛に意識を失いそうになり、頬を叩かれて闇から引き戻される事が何度もあった。
永遠のような時間。それが、部屋に響き渡った泣き声で、不意に終わりを告げた。周囲からも歓声があがる。
「シズナ様、おめでとうございます」
涙声で呼びかけるその声が、誰だかすぐにわからずにぼんやりとしてしまったが、この一年聞き慣れたアティアだと理解する。
「可愛らしい女の子ですよ」
そう言いながら、アティアの手が、汗まみれになって額に張りついてしまったシズナの前髪を払ってくれる。まだ荒い息を整えていると、やがて、おくるみに包まれた赤子が、産婆の手によってシズナの隣に寝かされた。その姿を見て、シズナは思わず目をみはった。
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