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第4章:奪われた光
そう叫んでも、我が子が戻ってくる訳ではない。それをわかっていても、声に出さずにはいられなかった。
「申し訳ございません、シズナ様」
背もたれによりかかるように椅子に座り、膝の上に自分で縫った黄色の産着を乗せて、ぼんやりとしているシズナを前に、アティアは心底申し訳無さそうに頭を下げた。
「わたしが、ヘステ妃のお考えを察していれば、こんな事には」
「僕にも責任がある」
アティアの隣に並んだミサクが、口惜しそうに唇を噛み締めた。
「男だからと関わらせてもらえなかった、というのは言い訳にしか過ぎない。どんな手を尽くしても、介入すべきだった」
「……いいの」
どんな怒りをぶつけられても仕方無いと恐縮する二人にかけられたシズナの声は、恐ろしいまでに穏やかだった。
「いいのよ、二人のせいじゃない。気にしないで」
「しかし」
「ごめんね」
尚も言い募ろうとするミサクの言葉を遮るように、シズナは二人の方を向き、やけに静かに微笑んだ。
「一人にしてくれるかしら」
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