第1話

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三限目の講義に出るべく教室に入り席に着くと、自分の周りに次々と女子が座り始めた。 いや、他にもいっぱい席空いてるのに。 チラチラこちらを見つめる女子達に囲まれて息苦しい。 「北野君、シャーペン忘れちゃった。貸して貰えない?」 出た。忘れ物シリーズ。 ここで貸してあげると絶対に返してくれない。でも、貸さないと恨まれそうで怖い。 そこで僕はいつも鉛筆を箱で持ち歩いている。忘れました攻撃には、この鉛筆をあげることにしているのだ。 痛い出費だが、シャーペンを取られたり貸さずに恨まれるよりよっぽどいい。 「はい。鉛筆でよければ使って」 「ありがとう。北野君て優しいのね」 優しい訳では無い。 苦肉の策だ。 僕の持ち物を欲しがって盗もうとする女子が多いので、こうして痛い出費をするはめになるのだ。 「私も忘れちゃった」 「あらやだ。私も忘れたわ」 君達は学校に何をしに来てるんだ? 書くものも持たずに学校に来るなんて変だろう。 女子は特に怖い……。 冷たくするとすぐに泣く。 泣いて責めてこられると、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまう。 だから静流は女子にはなるべく関わらない、逆らわないを心掛けていた。 「北野君、今日の夜は予定ある?合コンがあるんだけど来てくれない?」 「夜はバイト」 合コンなんて、そんな恐ろしい所に行けるもんか。 ギラギラした狩人だらけだろう。 狩られて何をされるか分からない。皆よく合コンなんて行けるものだ。
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