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三限目の講義に出るべく教室に入り席に着くと、自分の周りに次々と女子が座り始めた。
いや、他にもいっぱい席空いてるのに。
チラチラこちらを見つめる女子達に囲まれて息苦しい。
「北野君、シャーペン忘れちゃった。貸して貰えない?」
出た。忘れ物シリーズ。
ここで貸してあげると絶対に返してくれない。でも、貸さないと恨まれそうで怖い。
そこで僕はいつも鉛筆を箱で持ち歩いている。忘れました攻撃には、この鉛筆をあげることにしているのだ。
痛い出費だが、シャーペンを取られたり貸さずに恨まれるよりよっぽどいい。
「はい。鉛筆でよければ使って」
「ありがとう。北野君て優しいのね」
優しい訳では無い。
苦肉の策だ。
僕の持ち物を欲しがって盗もうとする女子が多いので、こうして痛い出費をするはめになるのだ。
「私も忘れちゃった」
「あらやだ。私も忘れたわ」
君達は学校に何をしに来てるんだ?
書くものも持たずに学校に来るなんて変だろう。
女子は特に怖い……。
冷たくするとすぐに泣く。
泣いて責めてこられると、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまう。
だから静流は女子にはなるべく関わらない、逆らわないを心掛けていた。
「北野君、今日の夜は予定ある?合コンがあるんだけど来てくれない?」
「夜はバイト」
合コンなんて、そんな恐ろしい所に行けるもんか。
ギラギラした狩人だらけだろう。
狩られて何をされるか分からない。皆よく合コンなんて行けるものだ。
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