第1話

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「南野君来てくれるから北野君も来てくれたら嬉しいんだけど…。バイト休めない?」 「無理」 その後も、顔だけでも出してくれたらと食い下がってきたが、講義が始まってくれたのでその話はひとまず終了した。 貴文、合コンとか行くんだな。 貴文なら場を明るく盛り上げてくれてくれそうだ。 だが、アイツは本当にそれで楽しいんだろうか……。 自分が貴文のことを考えていたことに驚き、僕は頭を振って講義に集中した。 講義終了後に、また女子に捕まりそうになるのを振り切って建物の外に出ると、ベンチのところに貴文が座って待っていた。 優雅に足を組んでベンチに座る貴文は絵になっていて、こんな人が友達になったなんて嘘みたいだと静流は思った。 「三限、ちゃんと出たのか?」 「出たよ。最後の10分だけ抜けてきちゃったけど。はい、お弁当箱。ご馳走様でした」 貴文に渡された空の弁当箱は、綺麗に洗われていた。 貴文は意外とマメなのだなと、静流は感心する。 「静流、帰りに一緒にお茶でもしない?」 「駄目だな。バイトだから」 「残念………」 「合コンに行くんだろ?君だって忙しいんじゃないのか?」 ああ………と、貴文は微妙な顔をした。 「人数合わせで呼ばれたんだよ。別に合コンなんて行きたくないんだけどさ」 「行きたくなければ行かなきゃいいのに」 静流がそう言うと、貴文はふふっと笑った。 静流ならそう言うと思った。 行きたくもない合コンなんて、静流は絶対に行かないだろう。 「付き合いがさ、あるから…仕方ないよ」 「そういうものなのか?大変だな…」
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