第2話

3/22
前へ
/222ページ
次へ
雅文達から逃げることに成功した静流は、駅までの道を急いで歩いていた。 すれ違う人が皆振り返って静流のことを見ている。 髪も服装も決まっている静流は、普段よりも更に目立っていた。 酔っ払いにもよく絡まれる。 繁華街はさっさと通り抜けよう。 そう思いながら小走りで歩いていると、植え込みのところで座り込んでいる男性に目が止まった。 あの服装は……。 「貴文?」 「あ、静流だ!どうしたの~?」 「いや、君の方こそどうしたんだ。酔ってるのか?こんなところに座り込んで…」 「ちょっと飲みすぎちゃって…」 貴文はへらりと笑うとさらりと髪をかきあげた。 酔っ払って道に座っているのに、こんな時まで格好良いのだなと呆れながら静流は手を伸ばして貴文の腕を掴んでその場に立ち上がらせた。 「全く……未成年のくせに酒なんか飲んで…。ほら、家まで帰れるか?」 「う………気持ち悪い…」 「わっ……待て待て!ここで吐くな!」 静流の制止も虚しく、貴文はその場に嘔吐する。静流は大きなため息をつくと、貴文の腕を自分の肩に回してタクシーを拾うため大通りに向かった。 嘔吐物で汚れた貴文をタクシーの女性運転手は一瞬嫌な顔で見たが、静流が「申し訳ないですが乗せて貰えますか?」と頼むと快く乗車を許してくれた。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1481人が本棚に入れています
本棚に追加