第2話

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「貴文、君の家はどこだ?」 「う……気持ち悪い……」 だめだこれは。 静流は仕方なく、タクシーの運転手に自分のアパートの住所を告げた。 身長はそれほど変わらないのに、貴文はしっかり筋肉がついており部屋に運ぶには骨が折れた。 貴文はその後吐くことはなく、タクシーの中からずっとすぅすぅと眠っている。 部屋の中央に貴文をごろりと寝かせると、静流は汚れた衣服を脱がせて洗濯機を回して洗濯を始める。 その間に、貴文の顔や手の汚れを丁寧に拭いて落とした。 こんなになるまで飲むなんて。 一緒に参加していたメンバーは貴文を放置して帰ってしまったんだろうか? 貴文は付き合いで参加してくれたのだから、最後まで面倒を見るのが筋ではないのかと見知らぬ合コンのメンバーに腹が立つ。 下着だけになった貴文に自分の服を着せようかと思ったが、意識のない相手の服を脱がせるだけであんなに苦労したのだ。着せるのはもっと大変に違いないと思って諦める。 「今夜はそんなに寒くないしな。布団を掛けておけば大丈夫だろう」 問題は布団だ。 来客など想定していないので、当然布団は一組しかない。 どうするか悩んだが、男同士なのだから一緒に寝ればいいかという結論に達して貴文に布団を掛けると静流はシャワーを浴びた。
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