第2話

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意を決しておそるおそる相手の顔を覗き込もうとしたところで「う……ん…」眠る隣の人物がごろりと仰向けになった。 「え………ええっ!静流?!」 貴文の頭の中は大パニックだ。 昨日の合コンに静流は居なかった。 どうして俺は静流の家に居るんだ? 静流と………してしまったのか? 男とセックスしたことなんてなかったけど……昨夜本当に何があったんだ? 貴文の大声で静流は目を覚ました。 自分を見下ろして真っ青な顔をしている貴文を見て、二日酔いで具合が悪いのだなと察する。 「静流……その、昨夜は迷惑、かけたみたいで…」 「本当だよ。君のせいで腰が痛いよ」 自分より重い意識の無い貴文を無理して運んだせいで、静流はすっかり腰を痛めてしまっていた。 そうとは知らない貴文は、腰が痛いと顔を顰める静流を自分が昨夜犯してしまったのだと完全に誤解してしまった。 「あの、俺、昨夜………」 「吃驚したよ。君があんなことするなんて」 人通りの激しい道で座り込んで、挙句道に吐くなんて。 普段の爽やかな王子としての貴文からは考えられないことだった。 静流の言葉から、貴文は益々顔を青くしていく。 間違いない。 俺、昨夜静流とやったんだ……。 酷いことしたくせに全く覚えていないなんて…最低だ。 「静流………ごめん……」 静流は痛めた腰を庇いながらよいしょと起き上がった。 貴文をチラリと見下ろすと、そのまま台所の方に行って朝食の支度を始めた。
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