第2話

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静流……怒ってるよな。 きっと、男と寝たのなんて初めてだっただろうし……。 せっかく友達になってもらったのに、もうお終いだ………。 貴文が布団の上で悔やんでいると、台所からはいい匂いがし始める。 台所と言ってもワンルームで廊下部分にある小さなキッチンだ。 料理をする静流の姿は、朝から驚くほど綺麗で貴文はすっかり目を奪われた。 何で俺、全然覚えていないんだろう。 俺とした時、静流はどんな顔をしていたんだろう……。 「貴文、気持ち悪いか?大丈夫なら少し食べた方がいい。服はまだ乾いてないから僕のを貸してやる」 静流は押し入れから無造作にスウェットの上下を取り出すと、貴文に放り投げて寄越した。 貴文は言われた通り静流のスウェットに袖を通す。静流と寝てしまったと意識すると、このスウェットをいつも静流が着ているのだと思いドキドキしてきてしまっていた。 「ほら、朝食をそっち持って行くから布団を上げてくれ」 「あ、ああ」 貴文が布団を畳むと、静流は隅に置いてあった小さなテーブルを部屋の真ん中に持ってきて、朝食を並べた。 お粥に梅干し、卵焼きにナスの煮浸し。 二日酔いの貴文の為に、胃腸に優しそうなあっさりとしたメニューだ。 「無理しないで食べられるだけ食べろよ」 「ありがとう……」 静流の優しさが申し訳なくて、貴文はしゅんとしながら箸を手に取った。
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