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「いただきます……」
静流も手を合わせて朝食を食べ始める。
貴文は二日酔いで食欲がないかと心配したが、思いのほかパクパク食べていて静流は安心した。
「……美味いな」
「そうか。良かったよ」
「俺、静流に酷いことしたのに……朝食まで食べさせてくれて……本当にありがとう」
酷いこと?
酔っ払って僕に迷惑をかけたってことか?
そこまでしんみりされるほど、酷いことではないと思うが……。
貴文は気にするタイプなんだな。
「昨日のことは忘れろ。僕も忘れるから。これからはあんなに飲みすぎるなよ」
「もう、禁酒するよ。静流、俺の事許してくれるの?」
「ああ。友達……なんだろ?俺達は」
静流はそう言って黙々と朝食を食べ進めた。
忘れろって言われても……。
いや、実際に忘れてるんだけど。
こんなにあっさりと許して貰えるようなことなのか?
静流……経験なさそうに見えるけど、実は経験があるのか?
食事をする静流の口元や、嚥下する度にごくりと上下する細い喉元から貴文は目を離せなかった。
よく見れば、静流は男性にしてはかなり色気がある。顔だって物凄く綺麗だし……。
静流となら、確かにアリだな…。
そんな目で友達を見てしまったことに、貴文は自分を嫌悪した。
静流は良い奴だ……。
これからは静流に対して誠実でいないと。
こんな俺のことを許して受け入れてくれたのだから……。
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