第1話

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「じゃ………」 貴文に軽く会釈をして、静流はその場から離脱するのに成功した。 せっかく話しかけてくれたのに感じ悪かったよな……。 でも、あんなキラキラした本物の王子様と一緒に居たら疲れちゃうよ。 逃げるように去っていく静流の姿を、貴文は困った顔で見つめていた。 いつも一人でいる静流のことが気になって、何とかして友達になれないかと試みているのだが、毎回こうして逃げられてしまう。 「貴文、北の王子にまた振られたな」 「山口……。北野君、何で俺の事避けてるんだろう。友達になりたいだけなのに」 「一人が好きなんじゃない?北野君、クールだし誰かとつるむの嫌いなんじゃない?」 「そうなのかなぁ……」 僕は別に孤独を愛する……なんてことはない。 田舎に居た時は数人だけどちゃんと友達だって居たし。 ただ、都会の人達はキラキラしていて怖いのだ。 極度の人見知りの僕には、都会で友達付き合いをするなんて無理だ。 目立たず、ひっそり生きていきたいのに……この顔のせいで全然思い通りにいかない。 「北野君、隣いい?」 「………うん」 お化粧バッチリの女子に声を掛けられて、僕は仕方なく頷いた。 他にも席が空いているのに、何故ここに座る?そう言いたかったが、それを言う度胸は僕にはない。 ここはもう、隣を意識せず授業に集中するしかない。
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