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「じゃ………」
貴文に軽く会釈をして、静流はその場から離脱するのに成功した。
せっかく話しかけてくれたのに感じ悪かったよな……。
でも、あんなキラキラした本物の王子様と一緒に居たら疲れちゃうよ。
逃げるように去っていく静流の姿を、貴文は困った顔で見つめていた。
いつも一人でいる静流のことが気になって、何とかして友達になれないかと試みているのだが、毎回こうして逃げられてしまう。
「貴文、北の王子にまた振られたな」
「山口……。北野君、何で俺の事避けてるんだろう。友達になりたいだけなのに」
「一人が好きなんじゃない?北野君、クールだし誰かとつるむの嫌いなんじゃない?」
「そうなのかなぁ……」
僕は別に孤独を愛する……なんてことはない。
田舎に居た時は数人だけどちゃんと友達だって居たし。
ただ、都会の人達はキラキラしていて怖いのだ。
極度の人見知りの僕には、都会で友達付き合いをするなんて無理だ。
目立たず、ひっそり生きていきたいのに……この顔のせいで全然思い通りにいかない。
「北野君、隣いい?」
「………うん」
お化粧バッチリの女子に声を掛けられて、僕は仕方なく頷いた。
他にも席が空いているのに、何故ここに座る?そう言いたかったが、それを言う度胸は僕にはない。
ここはもう、隣を意識せず授業に集中するしかない。
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