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朝食の片付けは貴文が買って出た。
腰の痛そうな静流を少しでも休ませてあげたかったからだ。
今日は大学が休みの日で良かった…。
静流には負担をかけてしまったので、今日はゆっくり休んで欲しい。
「貴文、悪いんだがそれが終わったら湿布貼ってくれないか?」
「湿布………腰に?」
「ああ。自分だと上手く貼れなくて」
静流は貴文に湿布を手渡すと、上着を捲って腰を出して貴文の方に向けてきた。
静流の白くて細い腰を見て、貴文はごくりと喉を鳴らす。
昨日、自分はこの腰を本当に抱いたのだろうか。
邪な考えを振り払って、貴文は静流の腰に湿布を貼ると上着を元に戻した。
これ以上静流の肌を見ているとおかしな気持ちになってくる。
「ありがとう。これで午後からバイトに行けるよ」
「今日、バイトあったのか?そんな…腰痛で清掃のバイトなんか大丈夫か?休んだらどう?」
「まあ大丈夫だ。休むわけにはいかないよ。バイトしないと家賃が払えないから」
貴文は静流の部屋をぐるりと見渡した。
年季の入ったアパートは、綺麗に掃除はされているが正直に言ってかなりボロい感じだ。
家具なども最低限度のものしか置かれていない。
金銭的に余裕がないのかなと察せられた。
「じゃあ……バイト先まで送っていくよ」
「いや、別にいいよ。貴文こそ二日酔いで辛いんだろ?服が乾いたら帰ってゆっくり休めよ」
言い方は素っ気ないが静流が自分のことを心配してくれているのだと、貴文は感じていた。
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