第2話

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静流のことはずっと気になっていて、昨日やっと友達になれたところで……。 まさかその日のうちに体の関係を持ったのだという事実に、心が追いついていかない。 貴文の心の中での葛藤に静流は全く気付いていなかった。 貴文との間に体の関係を持ったと思われているなんて夢にも思っていない。 貴文の様子が変なのは二日酔いのせいだと信じて疑っていなかった。 「静流………俺、昨夜は静流に酷くしたか?」 酷く? まあ、酷く酔ってはいたが…。 「別に僕に酷くは無かったけど……」 「乱暴にしなかった?ごめん……本当に覚えてなくて。怪我させたりしてないか心配で…」 怪我? 重くて腰は痛くなったが乱暴とは? 貴文と会話が噛み合っていないことに静流も薄々気づき始めた。 「運ぶのが重くて腰は痛くなったけど…酷いとか乱暴とか、何の話だ?」 「だから……昨夜、俺と静流……」 「僕と貴文が何だって?」 「………セックスしたんだろ?」 思いがけないことを言われて、静流は手に持っていた本をばさばさと床に落としてしまった。 「…………は?僕と貴文がセックスしたって?」 「だって…俺、裸だったし……一緒に寝てたし、静流は腰痛がってるし……」 どうしてそういう発想になったんだ? 男同士なんだから一緒に寝てても変じゃないだろうに。 そもそも、セックスなんて男同士でするものじゃないだろう。
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