第2話

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静流は深呼吸をしてから貴文の前に腰を下ろした。 「貴文、昨夜僕は酔っ払って道に座り込んでる君を見つけて家に連れて来た。君の家が分からなかったからとりあえずと思って」 「うん」 「吐いて汚れた服を脱がせて洗濯して」 「うん」 「代わりの服を着せるのは大変だったからそのまま寝かせたんだ。だから裸だったんだよ」 「でも、同じ布団で寝てたのは?」 「うちには布団をが一組しかないからだ」 「じゃあ……俺達は……」 「セックスなんかしてる訳ないだろ。馬鹿だな……早く聞いてくれたら良かったのに」 静流が呆れた顔で言うと、貴文は両手で顔を覆って下を向いた。 全ては自分の早とちり。 静流と自分は体の関係なんかなかった。 「そっか……やってなかったか」 「やってない」 俯く貴文の肩を、静流はポンポンと叩いた。 そんな有り得ないことで落ち込んだり気にしていたのかと思うと、可笑しくて堪らない。 「僕とやったなんて思ったら……ショックだったろ」 「ショックと言うか……覚えてないのが申し訳なくて」 貴文は顔を上げると静流と目が合った。 静流はくすくす笑っていて、貴文のことを面白そうに見ていた。 やっていなかったと聞いてホッとしたのに………少し残念だと思ってしまったのは何故だろうと貴文は思った。
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