第2話

14/22
前へ
/222ページ
次へ
また静流のことを可愛いと思ってしまった自分に驚いて、貴文は急いで食事に集中した。 親子丼もふんわりしてトロトロで……静流の料理は何を食べても美味しい。 「料理、本当に得意なんだね」 「両親が共働きで、妹達に作って食べさせてたからな」 「妹いるんだ?いくつ?」 「小学六年生。双子なんだ」 静流の妹なら、きっと物凄い美人なんだろう。 料理が上手で掃除も得意。 静流はいい奥さんになりそうだなどとつい考えてしまう。 「貴文は兄弟はいないのか?」 「兄が一人。もう働いてるよ」 「男の兄弟はいいな。僕は妹だから、家でいつもおままごとの相手をさせられて大変だったよ」 「兄さんとはそんなに遊んだことないな」 兄はすごく可愛がってはくれたが。 出来の良すぎる兄と比較されて、貴文は実家ではいつも息苦しい思いをしていた。 「男兄弟だとそんなものなのか」 「そんなもんだよ」 なるほど…と、言いながら静流が兄の件にそれ以上触れなかったので、貴文はホッとしていた。 実家を出て一人暮らしを始めてから、兄の顔は暫く見ていない。 「ご馳走様でした。片付けは俺がやるね」 「じゃあ任せた。洗濯は乾いたかな…」 静流が洗濯物を取り込む間に貴文は手早く洗い物を済ませた。 こうしていると、まるで同居しているみたいだなと思ってつい笑ってしまう。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1481人が本棚に入れています
本棚に追加