第2話

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「何だニヤニヤして……。そんなに洗い物が好きなのか?」 「ち、違うよ。親子丼が美味かったなぁって思い出してたんだよ」 「あんなの……普通じゃないか。普段何を食べてるんだよ」 貴文は本当に変わっている。 普通の料理で凄く喜ぶし。 酔っていて記憶が無いからって、僕に乱暴したんじゃないかって落ち込んでるし。 都会的で完璧な王子様かと思っていたのに、知れば知るほど………変な奴だ。 「ほら、洋服乾いてたぞ。着替えてくれ。僕も着替えたらそろそろ出ないといけないから」 静流が躊躇いもなく着ていたシャツを脱ぎ、白い肌が顕になって貴文は慌てて目を逸らした。 静流の裸に動揺するなんて……俺はどうしてしまったんだ。 静流はシンプルな洋服に着替えると鏡で簡単に身だしなみを整えた。 量販店で安く売っているような服を着ているのに、静流が着るとスタイリッシュに見えるから不思議だ。 貴文も借りていたスウェットを脱いで自分の服に着替え始めた。 静流は着替える貴文をじっと見ていた。 服を着ていればそんなに差がないように見えるが、貴文は体全体がしなやかな筋肉に覆われていてとにかく格好良い。 男としては羨ましい限りの体つきだと静流は思った。自分の貧相な体とは全然違う。 「貴文は何かスポーツでもやってるのか?」 「いや、別に。たまにジムに行くかな」 ジムか……なるほど。 貧乏な自分には縁のないところだ。
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