第2話

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「じゃあここで…」 「腰は大丈夫?」 「湿布が効いてるから痛くない。じゃあな」 静流と貴文はビルの前で手を振って別れようとした。 しかし、突然現れた人物によって足止めをされてしまった。 「やだ!静流ちゃんと貴ちゃんじゃない!」 派手な色使いの服を着たスタイルの良い中性的な顔立ちのオカマ……薫は、間に割り込んで来てがしっと二人の腕を掴んだ。 「こんなところで会えるなんて……神様って本当にいたのねぇ。さ、二人とも急いで来てちょうだい」 「薫さん、どうしたのさ」 「貴ちゃん、相変わらずいい男ね。会社のピンチなのよ!早く来て!!」 貴文と薫は顔見知りのようだ。 どういう繋がりなのか不思議に思ったが、見かけによらず力強い薫に引き摺られてビルに連れ込まれた静流に、それを質問する余裕もなかった。 「か、薫さん、僕もうバイトの時間なんですけど…遅刻しちゃう」 「清掃部には話を通してあるから!いいから早く来てちょうだい!」 エレベーターに乗って三人で最上階まで上がる。 静流は薫越しに貴文の様子を見たが、貴文は何かを考える様子で静流の方は見てくれなかった。 きっと雅文さんの部屋に行くのかなと思っていたら、案の定昨日訪れた雅文の部屋に通される。 窓際に置かれたデスクの向こうに座っていた雅文は、部屋に入って来た三人の顔を見てぱっと顔を輝かせた。
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