第2話

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「静流君に貴ちゃんじゃないか!薫、どんな魔法を使って二人を連れてきてくれんだい?」 「神様は居たのよ!偶然二人が一緒に居るところをゲットしたの」 雅文さんまで貴文のことを貴ちゃんと呼んでいる。 こんな大きな会社の副社長と貴文は、どういう知り合いなんだろう。 「兄さん……いつまでも俺の事、貴ちゃんて呼ばないでくれる?薫さんも……」 「貴ちゃんはいつまでも俺の可愛い貴ちゃんなんだもん。それより、静流君と貴ちゃんは友達だったのかい?」 「大学が同じなんだ。で、無理矢理俺達を引っ張ってきて何の用だよ」 こんなに不機嫌そうな貴文は初めて見た。 雅文さんがお兄さんだったのか……。 てことは、貴文はかなりのお坊ちゃんなんじゃないか。 「今日、新しいブランドの取材があってさ。モデル頼んでたんだけどトラブルで来られなくなって………。二人にモデルを頼めないかと思って」 「断る!」 「嫌です!」 静流と貴文は同時に雅文からの依頼を断った。急にモデルなんて言われても出来るはずがない。 「うちの服を着て立っててくれるだけでいいから!お願い……助けて!」 「無理だって。静流だって嫌って言ってるだろ」 「本当に困ってるんだよ。あと30分で取材の人達来ちゃうし………」 「そんなこと言われても無理!」 静流は二人のやり取りをハラハラしながら見ていた。 モデルなんて絶対にやりたくない。 貴文が上手く断ってくれすようにと祈るように見ていたのだが……。
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