第2話

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「はいできた!次静流ちゃん!早く座って」 鏡の前の椅子に座ると、薫が静流の顔にどんどん何かを塗っていく。 「静流ちゃん、肌綺麗だし素材がいいから殆どメイクしなくてもいいわね」 フンフンと鼻歌を歌いながら薫はあっという間に静流の支度を整えた。 「流石アタシ!二人ともバッチリよ」 「おお!薫、支度できたか。よし、二人とも着いて来て!」 支度を終えた静流と貴文を、雅文が迎えに来てくれて移動する。 移動した先は『社長室』と書いてあり、静流はえっ!と思って隣の貴文を見た。 貴文は心底嫌そうな顔をしている。 「父さん、モデルの支度できたよ」 重厚な扉の向こうに厳つい顔の男性が座っていた。 父さんと言うことは二人の父親のはず。雅文と貴文はよく似ているのに、社長の椅子に座る男性は二人に全く似ていなかった。 がっしりしていて強そう……。 強面の社長が顔を上げて、ん?と眉を顰めた。 「モデルって……貴文じゃないか」 「頼んでたモデルが急に来られなくなってさ。貴文と友達の静流君に急遽お願いしたんだ」 「そんな急に……大丈夫なのか?」 「よく見てよ。二人とも凄く格好良いでしょ?頼んでたモデルより、余程レベル高いよ」 社長さんは僕達が突然の頼まれた素人なので、心配してるみたいだ。当たり前だよね……ちゃんとやれるのか僕も物凄く不安だ。
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