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「そっか……俺は変わってて、普通か」
「ああ。顔はいいけど中身は普通に変な奴だ」
静流はそう言うとにこっと笑った。
貴文が整った顔のせいで、自分同様のコンプレックスを抱えていたと知って、静流には貴
文が身近に感じられるようになっていた。
「さ、こんなとこで話してるとじろじろ見られるから行こう」
「あ、そうだよな…」
貴文は静流と並んで歩いて、自分の中に芽生えた気持ちに戸惑っていた。
俺……静流のことが好きかもしれない。
静流は俺の外見を気にしない。
静流自身が自分の外見を嫌っているので、俺のことも分かってくれている。
率直にものを言って嘘をつかない。
そして……笑顔が可愛い。
「参ったな………」
静流は男なのに。
それに友達だ。
好きになんかなったら駄目だ。
「静流、今日は俺の家のトラブルに付き合ってくれたお礼に夕飯奢るよ」
「そんなの別にいいよ。バイト代だって貰ったんだから貴文が気にすることない」
あっさりと断られて貴文はガッカリしてしまった。しかし、次の静流の一言で沈んだ気持ちはすぐに浮上する。
「奢りとかじゃなくて普通に一緒にご飯食べないか?何か材料買って僕が作るから」
「本当に?いいの?」
「ああ。あ、でも材料費は折半な」
また静流の料理が食べられると思って、貴文は元気よく頷いた。
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