第3話

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「静流、俺のこと探してくれてたの?連絡先交換したんだからメッセージくれたら良かったのに」 「…………ああ、そういう手があったか」 「で、どうしたの?」 「ちょっと昨日の件で……」 お金の件を人前で話すのも……静流がチラリと山口を見たのを確認すると、貴文は山口に手を合わせて謝った。 「山口ごめん!ちょっと静流と話してくるから………」 「あ、ああ。了解」 静流と貴文が歩いて行くのを山口は頭を掻きながら見送った。 全く、いつの間にあの二人があんなに仲良くなったんだろうか。 つい先日までは静流に声をかけては、貴文が振られていたと思ったのに。 まあ、イケメンが二人で居るのは絵になっていいよなと、山口は呑気に思っていた。 「で、どうしたの?」 「あのさ、昨日のバイト代が多すぎるから貴文の封筒と間違ってないかと思って」 「いくら入ってた?」 「三万円……」 貴文はなんだと言って笑う。 多すぎるって、急遽モデルを務めてあげたのだから安すぎるくらいだ。 「俺のと同じだよ。別に多くないよ。気にしなくても大丈夫」 「だって、僕は立ってただけだよ。そんなに貰えないよ」 「平気だって。モデルのバイトなんだから清掃のバイト代より高くて当たり前だよ」 「そうなの?」 静流ほど綺麗なモデルなんかなかなか居ない。静流は自分の価値をよく分かっていないようだ。
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